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【#0234】革製品の保護・保管について 5

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※こちらは2010年2月に更新されたアーカイブ記事です。
記事内に掲載されているアイテム、及び発売予告などの記述に関しましては過去の記事となりますので現在はお取扱いを行っていなかったり、また既に完売となっているものもございますこと、予めご了承下さいませ。

 

それぞれの革の持つ特性についてのご説明です。

 

前回はツルンとしたスムースの革でしたが、今回はシボ(皺加工)が入った革です。

 

シボが入った革でも植物性のタンニンで鞣された革とクロームで鞣された革があり、それぞれに特性が異なります。

 

 

シボが入った植物性のタンニンで鞣された革ですと、C.O.U.ではイタリア産のミネルバ・ボックスなどがあります。

 

このシボ革は植物性のタンニンで鞣され染料仕上げを施していますので、前回のスムースの革同様に水分や溶剤を吸収し易いのですが(放って置くとジワーっと染み込んでいきます。)、膨張とその後の収縮による形の歪みや硬化は目立ちにくいのが大きな特徴です。

 

この革はシボを出す為に革自体が丁寧に揉み込まれていることで元々の状態が柔軟性に富んでいますので、繊維の硬化も少ない上、シボの表情により水気が浸透しても表面の歪みは全く分かりません。

 

またミネルバ・ボックスの場合、オイル成分がたっぷりと含まれていますので、他の革よりも比較的水気には強いと言えます。ただ水に濡れると、染料仕上げの革ですので色落ちは否めません。

(白い服など着ている時に鞄が濡れた場合、服に色移りする可能性はとても高いです。

 

それでもミネルバボックス特有の柔らかい質感と使い込む程に風合いが上がってテカテカになっていく様は大変魅力的で、前回のサドルプルアップやブッテーロと同じく経年変化を楽しまれる革好きの方々に大変好まれている革です。

 

 

 

次にクロームで鞣されたシボが入った革といえば、C.O.U.ではドイツ産のシュリンクカーフ(シュランケンカーフ、ドイツシュリンク)があります。

シュリンクカーフに限らずクロームで鞣された革は全般的に弾力性・柔軟性に富み復元能力が高いのが特徴です。

 

こちらの革はクロームで鞣されていることと、染料仕上げのみではなく、表面に顔料処理を施していますので所謂「味の出る革」では無く、植物性のタンニンで鞣された革と比べると経年変化は殆ど見られないのが大きな特徴です。

 

染料仕上げの革の場合は紫外線による退色も珍しくないのですが、顔料仕上げの革の場合は変色・退色にとても強いのが特徴で、特に発色の良い明るい色・鮮やかな色などは顕著で、汚れさえ付かなければ何年も発色の良い状態のままです。

 

また顔料仕上げの場合、染料仕上げに比べて色移りの可能性がとても低くなるのも大きな利点と言えます。

(とは言うものの全く色落ちしない訳ではありません。革ですので僅かにします。)

 

加えて顔料は革の表面をコーティングすることになりますから、水気を革に浸透しにくくし、例え浸透したとしてもミネルバボックス同様にシボの表情により歪みは殆ど分かりません。

 

経年変化が見えにくい革ですので、それを「味気ない」「人工的」と取るか「理想的な革」と取るかはお好みが分かれるところですが、適度な張りを残しつつも柔らかくふくよかな革の表情はとても魅力的で、こちらもまた長くお使いいただける丈夫な革です。

 

続きます。

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