今回は革の鞄についてのお話です。
※こちらは2010年02月に更新されたアーカイブ記事です。
記事内に掲載されているアイテム、及び発売予告などの記述に関しましては過去の記事となりますので現在はお取扱いを行っていなかったり、また既に完売となっているものもございますこと、予めご了承下さいませ。
(久しぶりの更新ですので少し緊張しています・・・。)
さて季節の変わり目ということもあり、革製品の保護について再び書きたいと思いますが、今回は革の鞄についてです。
ここでは再三述べてきましたが、世の中の殆どの革は大抵水気を嫌います。
革小物と違って鞄の場合は殆ど外気に晒されていますので、その分雨や風に触れる機会が多く、ご注意していただくことが革小物に比べて多いかも知れません。
と言っても神経質になる必要は全く無く、ここで書くのはあくまでも長持ちさせる為のサポートですので、メンテナンスをする上でもあまり過敏にならずに楽しくお使い頂けたらと思っています。
必ずこう使って下さい、これは絶対にやってはいけない、ということではありませんので、革の鞄を末永くお使い頂く為の工夫のようなものを幾つか書きたいと思います。
そもそも革製品にとって何故水気がいけないのかと申しますと、水濡れは色落ち、風合いの低下、カビの原因になり易いからです。但しこれらは必ずしもなる訳では無く、放って置くとなり易いのでご注意が必要というだけです。
(汚れを放って置くのもまた同じです。)
植物性のタンニンで鞣された革、クロームで鞣された革、スムースの革、シボが入った革など、世の中には色々な革が存在します。中には水気に強い革などもありますが大概の革は雨などに濡れた場合はなるべくその場で拭き取った方が良いでしょう。
先に結論から申しますと、以前も書きましたが「なるべく濡らさない(濡れたらすぐ拭き取る)」「なるべく汚さない(汚れたらすぐ汚れを落とす)」で充分だと思います。
革の鞄に限らず革製品全般について言えることですが、細かい事を挙げていくと本当にキリが無いのと、また使うのも楽しく無くなってしまいますので、物を大事にお使いいただく「気持ち」さえあれば、至って普通のご使用で良いのかと思います。
(身も蓋もない言い方になってしまいますが、どんな物でも大事に使えば長持ちしますし、乱暴に使えば製品寿命も短くなってしまいます。)
さて、そのケアの方法の前に、それぞれの革の特性について書きたいと思います。
こちらは植物性のタンニンで鞣されたスムースの革です。C.O.U.ではベルギー産のサドルプルアップやイタリア産のブッテーロ、ミネルバ・リスシオなどがあたります。
自然の風合いを残した革ですので傷は付きますが、経年変化による風合いの上がり方は何とも言えない魅力があり、革製品の醍醐味が味わえる種類の革とも言えます。
木材で言うと天然無垢の木のようなものですので、一般的には高級皮革の類です。革本来の美しさを活かす事に重点が置かれていますから、表面にコーティングを施していない分、水分や溶剤等は浸透し易い性質があります。
植物性のタンニンで鞣されたスムースの革は、水気が付いてから長時間放置して乾燥させると、表面の歪みや硬化が分かり易い形で見られるのが特徴です。
シャツなどの洗濯物が乾くとゴワゴワするのと同じで、革の繊維は水分を吸収すると一旦膨張しますが、乾燥すると今度は収縮が起こり、繊維同士の摩擦が激しくなることで革の柔軟性が失われ、乾燥すると硬化し易くなります。
シャツ等の生地と違い、革の繊維は厚い上に更に緻密な上、部位によっては繊維の密度も異なる為、変化の仕方も様々です。
自然の素材を自然に仕上げている事と、ツルンとしたスムースの革であるが故、その変化も目立ち易いのですが、風合いが変わっていく様は長期に渡って楽しむことが出来ますので、とても革らしい革と言えます。