お待たせ致しました。Walkersシリーズが遂にリニューアル致します。そもそもWalkersシリーズとは、ドメスティックブランドである「CORBO.」のチーフデザイナーの古瀬聡氏とWILDSWANSのコラボレーションにより誕生したシリーズです。
日本の革製品のブランドであるCORBO.の製品は、徹底的に使いやすさにこだわることで生まれる機能美と独特のデザインが特徴です。ユーザーの方がCORBO.の製品を永く愛着を持って使って頂けるよう、古瀬氏が製品の細部にわたり様々な工夫凝らして製作しています。一方のWILDSWANSもCORBO.と同じように「丈夫で永く使うことのできる製品作り」をブランドコンセプトに掲げて、素材の選定にこだわり、製品作りにおける技術力を追求する日本の革製品ブランドです。この日本を代表する2つの革製品ブランドのコラボレーションこそがWalkersシリーズです。
古瀬氏の類稀なデザイン力とWILDSWANSの持つ技術力の融合により誕生したWalkersシリーズのアイテムは、これまでベルギー・マシュア社のサドルプルアップやイタリア・バダッラシーカルロ社のミネルバリスシオ等を用いて生産してきましたが、皮革の供給悪化を受けて、ここ数年は定番シリーズの生産を停止させて頂いておりました。大変ありがたいことに、この生産停止期間中もたくさんのお客様からWalkersシリーズ復活の声を頂いており、ようやく今回のリニューアルとなりました。そして、こちらのリニューアルに伴い、今後定番シリーズとして展開するWalkersシリーズで使用する皮革が、イギリス・ベイカー社のフルグレインブライドルレザーとなります。
ベイカー社はイギリス・デボン州にある古来より脈々と受け継がれる伝統的な鞣しを行う由緒あるタンナーです。WILDSWANSとの繋がりは5年以上前から始まり、フルグレインブライドルレザー以外にも靴のヒールで使用するソールベンズを用いたアイテムを当時限定でご用意させて頂くこともありました。ちなみにこのソールベンズは、靴のパーツの中でもとりわけ高い耐久性が求められることから、世界的にも有名な高級紳士靴ブランドにおいても用いられています。ベイカー社が製造する皮革は、どれも一貫して高い耐久性を持つことで知られています。化学合成物質を用いたクローム鞣し全盛の現在においても、植物由来のタンニンを用いたタンニン鞣しを頑なに守りことで世界的にも一目置かれるタンナーとなっています。
2015年にWILDSWANSは、共にWalkersシリーズを立ち上げた古瀬氏と渡英し、ベイカー社を訪問しました。それは古瀬氏とWILDSWANSにおいても運命的な出会いとなりました。日本に帰国してからは、それぞれのブランドでこのフルグレインブライドルレザーを用いたアイテムを展開するなど、現在に至るまで長く良いお付き合いをさせて頂いております。そして、その出会いから実に6年もの歳月を経て、本シリーズにおいてフルグレインブライドルレザーを採用することになりました。古瀬氏、WILDSWANSの双方共に満を持してのリニューアルとなります。
Walkersシリーズで使用するフルグレインブライドルレザーもベジタブルタンニン鞣しの皮革です。革として仕上がるまで、実に1年以上もの時間を要します。大量生産が当たり前の流れとは逆行する製法ではありますが、徹底的に丈夫な革にこだわるベイカー社にとって、必要な時間であることに疑いはありません。加えて、世の中に存在するほとんどのブライドルレザーが、ギン面を削るブライドルレザーであるのに対し、フルグレインブライドルレザーは、革で一番強度が高いとされるギン面(皮革表面)を削らずに仕上げる、特別なブライドルレザーなのです。
フルグレインブライドルレザーは、この工程により肉厚で驚くほどハリの強い皮革に仕上げられます。ギン面を削らないことから、フルグレインブライドルレザーの表面には、生体時から残るキズ、シワ(トラ)、血筋など荒々しい痕跡が残りますが、それは同時に逞しくも映り、革が持つ強度を最大限に生かす製法はベイカー社の技術力でしか成し得ることができません。
ラインナップをご紹介する前に、WILDSWANSでも高い人気を誇るフルグレインブライドルレザーのエイジングをご紹介させて頂きます。
ブラック。画像左が使用前、画像右が1年程使用したフルグレインブライドルTONGUE/ブラックです。使用前のブルーム(白いロウ成分)はすっかり姿を消して、透明感の強い、美しい光沢を放っています。エイジングの振れ幅はそれほど大きくないものの、ビジネスシーンにも良く映えるカラーです。また、汚れやシミが目立ちにくく、展開する3つのカラーの中で最も扱いやすいカラーとなります。
ダークステイン。画像左が使用前、画像右が使用から3年程のフルグレインブライドルPALM/ダークステインです。ブラックとロンドンカラーの中間位置するトーンです。色味が濃く、ロンドンカラーほどデリケートな取り扱いが必要ではないことから、比較的手軽にエイジングを楽しめるカラーとなります。
ロンドンカラー。画像左が使用前、画像右が使用から2年程のフルグレインブライドルWAVE/ロンドンカラーです。展開カラーの中で最も色味の明るいカラーです。それだけにエイジングの振れ幅が大きく、エイジング好きには堪らないカラーです。明るいカラーの皮革はどうしても汚れやシミなどが目立ちやすくなる宿命ですが、このエイジングを見ればそうしたリスクを差し置いても魅力的なカラーとなるのではないでしょうか。
続きます。