その３です。今回は少しだけ実験してみました。
※こちらは○年○月に更新されたアーカイブ記事です。
記事内に掲載されているアイテム、及び発売予告などの記述に関しましては過去の記事となりますので現在はお取扱いを行っていなかったり、また既に完売となっているものもございますこと、予めご了承下さいませ。
「殆どの革は水を嫌います」と書きましたが、鞄でも革小物でももし濡れてしまった場合はその場で拭き取り、極力水分を残さないようにします。そのまま放置しておくとカビや色落ち以外にも、革の繊維にダメージを与えることになります。
C.O.U.で取り扱っている革小物の場合は自然の風合いを残した革が多いのですが、このような革に水滴が付き、拭き取らずに放置しておくと「ブク」と呼ばれる水膨れのような痕が残ります。１度こうなってしまうと完全な修復は不可能ですので、必ずその場で拭き取ることをお勧めします。
（お財布等をヒップポケットで使用されている方で、汗を多くかかれる方の物にも似た様な現象が起こることがあります。）
では「ブク」とは一体どういうものなのでしょうか。
左からサドルプルアップのブラック、ブッテーロのレッド、ミネルバ・リスシオのグリージオの革スワッチがあります。（全て新しい状態で、厚みも同じにしてあります。）
これらに水滴を落として・・・
暫く放置しておきます。少しもったいないですが、果たしてどうなるのでしょうか。
５分以上経過して、一番最初に水分が革に浸透したものはサドルプルアップでした。オイルをたっぷりと含ませてあるこの革でも水分は確実に浸透していきます。
（ところがある程度使い込んだ物になってくると表面にツヤと薄い膜の様な物ができ、新品の状態のものより保護効果が断然高くなり、水分をはじき易くなります。）
次にジワジワと浸透していったのがブッテーロです。完全に染み込むまでは、サドルよりも時間がかかりました。（ブッテーロの鞄などは水気を含ませた布を堅く絞って拭いた後、乾拭きして水分を飛ばすと、ツヤも増し保護効果も高くなります。）
中々染み込んでいかなかったのがミネルバでした。水滴を上に乗せた状態ですとサドルプルアップの倍以上は時間がかかりました。（水滴に強い革ですが、水分を擦り付けるように染み込ませるとなるとまた話は別ですので、過信は禁物です。）
※また、どの革も部位や仕上がりに個体差がありますので、必ずしも上記の結果になるとは限りません。
さて完全に染み込んだ後放っておくと、３種の革全てに月のクレーターの様な跡が残りました。
その後暫く日数が過ぎると、凹んでいた箇所が徐々に膨らんできたりするのですが、これが「ブク」と呼ばれるものです。凹んだクレーターの様な状態の時点で、既に完全な修復は難しくなります。（水分が入ってきたことによる繊維の歪みが直らなくなります。）
また、こうなった部分は必ずと言っていい程ツヤが無くなります。写真のように水滴の範囲だけではなく、ヒップポケット内での発汗・蒸気で、広範囲に渡ってこのような凸凹になる場合もあります。お尻に当たる部分全体の表面が少し波打ち、ツヤも落ちマットな質感になります。
革製品がどう育つかは、使用方法・使用頻度によるところが大きいので何とも言えない部分もありますが、もし発汗が多くてブクを嫌われる方でしたら、ヒップポケットでのご使用は避けた方が良いでしょう。気にされない方でしたらOKですが、その分製品寿命は短くなります。
また使うのを止めて保管する際は、今まで「高温」で「多湿」というカビが喜ぶ条件のところにありましたので、必ず陰干しして湿気を抜き取らないとカビは発生し易くなります。
鞄の場合、雨の日対策として防水スプレーは有効ですが、革の種類によって色々別れます。（長くなりますので、またいつか詳しく書きたいと思います。）何れにせよ「濡らさないようにすること」と「もし濡れたら、すぐ拭き取る」ことをお勧めします。
C.O.U.で取り扱っている革製品の保護・保管について大まかに言うと「なるべく濡らさない（濡れたらすぐ拭き取る）」「高温を避ける」「なるべく汚さない（汚れたらキレイにする）」ことが挙げられますが、絶対にこうして下さい！こう使って下さい！と言う事ではなく、あくまでも製品を長持ちさせる為の工夫です。（日常生活において、汚さない様に使うと言うのも難しいかと思います。汚れたらまたキレイにすれば良いのです。）
既にブクになってしまった物やカビてしまった物は、それはそれとして仕方が無いので悲観せず、それも「個性」「思い出」だと大らかな気持ちでいきましょう。
変なまとめですが。
またいつか続きます。
