※こちらは2016年4月に更新された過去のブログ記事です。
記事内に掲載されているアイテム、及び発売予告などの記述に関しましては過去の記事となりますので 現在はお取扱いを行っていなかったり、また既に完売となっているものもございますこと、予めご了承下さいませ。
WILDSWANSに新たな定番素材が加わります。
WILDSWANSが製作する革小物について、現在サドルプルアップやクリスペルカーフ、クロコダイルといった皮革を定番シリーズの素材として用いておりますが、4月23日(土)よりフルグレインブライドルレザーが新たに定番シリーズの素材に加わります。
また、当日はフルグレインブライドルレザーが使用される5種類のモデルが発売となりますので、本日はこれらのモデルについてもご紹介をさせて頂きます。
先日のブログでもご紹介を致しましたが、まずは改めてフルグレインブライドルレザーについてのご紹介をさせて頂きます。
ブライドルレザーは元々イギリスにおいて手綱や轡(くつわ)といった馬具用の素材として開発された皮革で、一般的な革製品とは用途が異なるため、タンニン鞣しの皮革に内部の繊維質に至るまで蜜蝋やタロウ(精製された動物油)等を含むワックスを染み込ませることで高い堅牢性や耐久・耐水性を与えた素材になります。
ベイカー社ではオーク樹皮から抽出したタンニン溶液を用い、濃度の異なるタンニン槽に段階的に移し替えながら通算12ヶ月以上もの期間を費やしてじっくりと鞣しを行っています。
鞣しを終えた状態の皮革は「カリアー」と呼ばれる仕上げ担当の職人によって、加脂や染色が施されます。
皮革にワックスを塗り込む加脂の工程はブライドルレザーの肝とも呼べる部分ですが、 一般的なブライドルレザーはワックスを塗り込む際、通常ギン面(Grain)と呼ばれる皮革の表面を擦りワックスが浸透しやすくなる状態に加工します。
一方でフルグレインブライドルレザーはギン面を擦らずにワックスを塗り込んでいることで、皮革の強度の要であるギン面はそのまま(FULL-GRAIN)残したブライドルレザーが出来上がります。 当然ワックスの浸透はギン面を擦った状態よりも悪くなりますが、ベイカー社では古くから伝わる羊脂や魚油を調合した独自のレシピによりこの問題をクリアし、高い強度を保ちつつも蝋分を豊潤に蓄えた稀有なブライドルレザーを製造しています。
ギン面に加工を施さないフルグレインブライドルレザーは色ムラや傷もそのままに、大変豪快で荒々しい雰囲気に仕上げられています。
既にアンティーク感すら漂うその表情は永い伝統に裏打ちされた技術や製法だけでなく、職人のプライドや気概までもが乗り移ったかのような迫力があります。
今回WILDSWANSではこのフルグレインブライドルレザーのロンドンカラーとダークステインという2色をそれぞれ外装・内装に贅沢に使用したアイテムを製作致しました。
※アイテムの構造上、一部のパーツの裏貼りにはフルグレインブライドルレザーでは無い裏貼用の牛革を使用しています。
こちらはロンドンカラーという明るいブラウン系の色味です。 一般的なライトブラウンやキャメルといったカラーよりもイエローやオレンジの要素が僅かに強い印象です。
このロンドンカラーのサンプルをスタッフが約3ヶ月間使用致しました。 色味は1トーン深まり、キャメルに近い色味に変化して参りました。
初期の状態と比較すると僅かに光沢が上がり始めており、今後の変化も愉しみです。 質感についてはやや馴染んでしなやかになりましたが、革自体の強靭さは失われることなく力強く手に伝わって参ります。
そしてこちらがダークステインになります。
チョコレートやコーヒーを思わせるような深みのあるブラウンですが、薄化粧に染められており、素材の質感や表情はしっかりと伝わって参ります。
このダークステインもスタッフがサンプルを使用しており、画像のアイテムは4ヶ月程の使用期間を経ています。
こちらも先ほどのロンドンカラーと同様に色味の深まりが進むことでどっしりと存在感を増しており、色味の濃淡がより一層雰囲気のある表情を作り出しています。 フルグレインブライドルレザーも他のブライドルレザー同様に、ブルームと呼ばれる皮革の表面の粉状のワックスによって本来の色よりも白く見えることがあり、色の変化はより顕著に感じます。
この2色を用い、5種類のモデルを製作しております。
多機能コインケース・フルグレインブライドルTONGUE 24,000円(税抜)
2つ折り財布・フルグレインブライドルWINGS 32,000円(税抜)
小銭入れ付き2つ折り財布・フルグレインブライドルGROUNDER 47,000円(税抜)
中型3つ折り財布・フルグレインブライドルBYRNE 60,000円(税抜)
大型長財布・フルグレインブライドルWAVE 75,000円(税抜)
これらのアイテムは4月23日(土)より発売を開始し、同時にWILDSWANSの定番モデルに加わることになります。
※限定品とは異なり、在庫切れの際にはご予約をお承りしてお品物を製作致しますが、素材となる皮革の生産状況によっては通常納期である3ヶ月を大きく超えることもございます。
また、パターンオーダーにつきましては当面の間実施の予定はございません。 何卒ご了承下さいませ。
それではアイテムを順番にご紹介して参りましょう。
多機能コインケース・フルグレインブライドルTONGUE 24,000円(税抜)
始めに登場致しますのはWILDSWANSの代表的なモデルである多機能コインケースです。
コインケースの機能に加え、カードケースやパスケース、または紙幣も収納したミニマムなお財布としてなど、様々に活用が可能なアイテムです。 非常に堅牢で強靭な皮革を使用しているため、手に取って見ますと強い剛性や張りを感じることが出来ます。
本体背面にはカード類を収納可能なポケットを備えています。
ICカードを収納したパスケースとしての使用のほか、お財布として使用する際にはショップカードやクーポンチケットなどを納めて頂けます。
フラップは左右2点のホックにより前胴部分に留められており、ホックを外すとロゴ入りの前胴部分がそのままコインポケットになっています。
コインポケット内部には仕切りが設けられ、仕切りの革でカードを挟み込んで硬貨と分けて使用することが出来ます。
このスペースには3つ折りにした紙幣も収納が可能ですので、硬貨・紙幣・カードを収納したポケットサイズのお財布にもなり、硬貨を納めずにカードケースとして使用する場合には、仕切りを使わずキャッシュカードのような厚みのあるプラスチックのカードで10枚程度は収納が可能です。
規則正しく並ぶステッチや磨き上げられたコバなど、WILDSWANSの技術が込められた小さなコインケース・TONGUEは用途に合わせて使い分けの出来る汎用性の高いアイテムです。
2つ折り財布・フルグレインブライドルWINGS 32,000円(税抜)
続いては定番の2つ折り財布、WINGSです。
WILDSWANSの革小物シリーズの中では最も歴史が古く、ブランドの顔とも呼べるアイテムの1つです。 シンプルながら細部に至るまで入念に作りこまれており、10年以上を経過した今でも現役で活躍しています。
内装は非常にシンプルで、片側に3段ずつのカード段が設けられています。
また、それぞれのカード段の背面にはあおりポケットと呼ばれる底面と側面の2辺のみがL字型に縫製されたポケットがあり、カードをまとめて収納する事ができます。 カード段に入り切らなかったカードや使用頻度の低いカード、またはレシートや領収書の収納場所としても便利なポケットです。
札室の口は中央に行くに従って湾曲しており、口を開かなくても紙幣を確認することが出来ます。 また取り出す際には紙幣を抓み易く、出し入れのし易さにも一役買っています。
羽ばたく翼を思わせるような2つ折りの札入れ・WINGS。
シンプルな外観ながら細部までしっかりと作りこまれており、快適な使用感と高い耐久性を実現したWILDSWANSの代表的なモデルです。