長い梅雨が明け、ようやく夏本番となりました。東京の7月の日照時間ははじめの20日間でたったの15時間弱だったようです。6月下旬から7月下旬にかけて33日間連続で雨という記録もできたようですが、梅雨明け後はこんなに夏は暑かったかな?というくらいの猛暑が続いています。
我が家の植物は梅雨の期間は心配していたほど長雨の影響はありませんでしたが、それよりも梅雨明けと同時に突然来た猛烈な暑さにびっくりして、かなりのストレスを感じているようです。その中でも元気にすくすくと育っている姿を見るとこちらも暑さには負けていられません。
今回はそんな湿度の高い日本の夏をカラッとした気持ちのよい暑さに変えてくれる音楽を紹介します。
Khruangbin / 全てが君に微笑む (2019年)
こちらテキサス出身のトリオ、クルアンビンとの出会いは衝撃でした。新宿のレコード店で時間を潰していた時にYMOのカバーでおなじみエキゾの巨匠マーティン・デニーの名曲「ファイアークラッカー」が流れてきました。近年YMO関連の再発や編集盤のリリースが多いので、誰かがリミックスでもしたものかな?と一瞬思ったのですが、ベース音が太くて大きくてグルーヴ感が凄まじかったのですぐに新しいバンドだと思いました。ベースに負けじと気持ちいい音色のギターと乾いたタイトなドラム音がしっかりとしていて衝撃的な格好良さでした。この「ファイアークラッカー」はこちらの来日記念盤(フジロック出演記念)に収録されていたのですぐに購入したのですが、他の曲はわりとゆるい雰囲気の曲が多く、それもセンスの良さが際立ってました。メンバーの写真を見るとベースを弾いているのはすらっとした女性で、そのギャップも魅力です。
60〜70年代のタイや東南アジアのポップ・ミュージックに影響を受けたメロウでエキゾなソウルファンクサウンドというレビューが帯に書かれていますが、世界中のあらゆる音楽を消化した唯一無二の不思議なサウンドが、気持ちよく体の奥底まで響きわたります。夏の夕暮れ時から夜にかけて聴くのがおすすめです。
Various Artist / Tommy LiPuma works
続いてこちらはグラミー賞33度ノミネート、5度受賞というアメリカの音楽プロデューサー、トミー・リピューマの生涯に渡るプロデュース作品の中から代表作45曲を収録した3CDオムニバス盤です。 気分が良い時に、夏と言ったらどんな曲?と聞かれて即座に思い浮かべてしまうのがジャズギタリスト、ジョージ・ベンソンの名曲BREEZIN’です。タイトル通り夏のそよ風が吹き抜ける心地よさ全開で大好きな曲ですが、この曲はトミー・リピューマプロデュースの代表作で、今回のDISC1の一曲目はやはりこちらで始まります。
近年日本をはじめ世界中でシティポップ、AORといった音楽が大流行していますが、トミー・リピューマと言えばこの洗練されたライトでメロウなAORサウンドの代表で、これまで人生で「この曲良いなあ」としみじみ思った曲が彼のプロデュース作品であることが数え切れないほどありました。これはその代表作を一気にまとめて聴くことのできる嬉しい編集盤です。
永遠に色褪せない全45曲、とりわけ夏に気持ちの良い曲ばかりでオススメです。
Reggae Disco Rockers / Any Love – Best of Lovers Rock(2010年)
最後にこちらは日本のレゲエバンド、レゲエ・ディスコ・ロッカーズの曲からメロウでスウィートなラヴァーズレゲエに焦点を当て選曲されたアルバムです。演奏、歌声、センスどれも本当に素晴らしく安心して気持ちよく聴ける数少ないバンドですが、このベストの中にはシティポップ、AORの名曲カバーが多数収録されており、ラヴァーズレゲエというフィルターをとおってより洗練され今っぽくアレンジされています。とりわけ今海外で大人気の山下達郎さん、大貫妙子さんが在籍していたグループ、シュガー・ベイブの名曲「蜃気楼の街」のカバーは原曲が良いことを差し引いても、伸びやかな歌声とアレンジが素晴らしくとても気持ち良く聴ける曲です。