WILDSWANSの革小物や鞄類に関して、新たな素材が定番として加わることになりました。
イングリッシュブライドルレザー アメリカ・ウィケット&クレイグ社(Wickett&Craig)
WILDSWANSでは以前にも限定品の素材として使用したことがありましたが、今後この皮革を素材とした定番シリーズを販売することとなりましたので、改めてイングリッシュブライドルレザーについてご紹介をさせて頂きます。 WILDSWANSとしてはサドルプルアップやシェルコードバン、フルグレインブライドルやモンパルナス等に続き、「これは凄い」と久々に惚れ込んだ皮革です。
ブライドルレザーといえば硬質なイメージが強いですが、イングリッシュブライドルレザーの質感は適度なコシを残しつつも非常にソフトでしなやかです。 そのため曲げ伸ばしには非常に強く、硬質なブライドルレザーにしばしば見られるギン面の割れも滅多に起こりません。
また経年による変化も実に興味深いものがあり、お使い頂くことによって新品のマットな状態からは想像もつかないような光沢と色味の深まりを見せる点と、長くお使い頂いても皮革のコシが抜けにくく、弾力や力強さが維持されるという特徴を持った皮革です。
素材としての強度や耐久性といったクオリティ、また経年変化に於けるポテンシャルの高さなどは素材選びからその鞣し・仕上げに至るまでの工程に一切の妥協が無く、確かな技術と製法によって生み出されることに起因しています。
今回は特別にウィケット&クレイグ社にご協力を頂き、実際の工場の様子や皮革の製造工程を少しご紹介させていただきます。
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ウィケット&クレイグ社は1867年にカナダで創業した後に1990年にアメリカのペンシルバニア州に拠点を移して以来、タンニン鞣しを専門とするタンナーとしては北米で最も古い歴史を持っています。
ウィケット&クレイグ社では主に北米産アンガス牛の成牛の革を使用しておりますが、取り分けイングリッシュブライドルは社を代表する皮革のため、アンガス牛のステアハイド(生後2年以上の牡牛)の中でも最高クラスの原皮を厳選して割り当てています。
放牧されて育ったアンガス牛は脂肪が少なくがっしりと筋肉のついた牛で、その皮は5mm以上にもなる厚みと高密度に締まった繊維質によって非常に耐久性の高い皮革になります。
単に長持ちするといったこと以外にも、折り曲げた際の皺が細かいことで目立ちにくく、ギン浮きと呼ばれる皮革表面の層が分離して浮き上がる状態も起きにくいといった利点も持ち合わせています。
鞣しのスペースには72のピット槽が並んでおり、それぞれがミモザ(アカシア属植物)やケブラッチョ(ウルシ科植物)などの樹皮から抽出したタンニンを主成分として独自にブレンドされた鞣し剤で満たされ、充填と循環を行いながら常に品質が保たれています。
原皮は鞣し剤に浸され、じっくりと時間をかけて「皮」から「革」へと鞣されていきます。
鞣しを終えた皮革は蜜ロウ、タロウ、植物性油などのワックスを最終段階で染み込ませて強度と耐久性を高めるという、ブライドルレザー特有の工程を経て仕上げられますが、ウィケット&クレイグ社のイングリッシュブライドルは一般的なブライドルレザーとは異なり、「ブルーム」と呼ばれる皮革表面の白いロウ成分が見られません。
これは最終工程で熱したローラーに皮革を通し、敢えてブルームが浮き出ないような仕上げを施しているためです。
ロウ成分を皮革内部にしっかりと留めるという工程によって、更なる強度と耐久性を実現しています。
中央で分割された半裁の状態であっても成牛の巨大さがよく分かります。
当初は「スタッフィングレザー」という名称であったこの皮革は、30年ほど前に欧州市場への浸透を目的に「イングリッシュブライドルレザー」という名称に変更されました。
単なる模倣に留まらず高い品質を追求した製法による皮革は、現在では本家英国のブライドルレザーにも引けを取らない独自のブライドルレザーとして高い評価を得ています。
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これは皮革の製造工程とは異なりますが、工場に隣接した「水処理タンク」の画像です。
鞣しに使用された水を河に戻す際、バクテリアを加えてタンニンと原皮から溶け出した成分を分解し、更にPHを使用前の値に戻して浄化します。 優れたタンナーの指標でもある環境への配慮についても、しっかりと対策が取られていることが分かります。
伝統的な技法を用い、丁寧に鞣されたイングリッシュブライドル。
以下の4色が今後WILDSWANSの定番素材に加わる予定です。
・ブラック
・ダークブラウン
・ネイビー
・バーガンディ
準備が整い次第、改めてご案内をさせて頂きますので、どうぞ愉しみにお待ち下さいませ。