先日、春の陽気に誘われて益子焼の産地、栃木県芳賀郡益子町の濱田庄司記念益子参考館に行ってきました。こちらは、柳宗悦氏や河井寛次郎氏らと民藝運動を創始し日本の工芸界に大きな影響を与えた陶芸家、濱田庄司氏の自宅兼工房の一部を活用し、開設された美術館です。
世界中を旅して収集した器やラグなど世界の民藝品、そしてご自身の作品がたくさん展示されており、どれもこれもため息が出るほど素敵なものばかりでした。(全て写真撮影OK)
僕が民藝に興味を持ったのはこのイームズラウンジチェアに座って、自宅でくつろぐ濱田庄司氏の写真を見たことがきっかけでした。日本の木造家屋にイームズラウンジチェア、メキシコのラグが敷かれ、その上に器が並べられているという、世界各国の異なる文化の一見バラバラに見えるものがうまく調和されており、この感じを自宅の部屋に取り入れたいと思ったからです。
中でも特に関心を持った器は、ブランドものの服や靴、時計とは違い高価なものではありませんので気軽に生活に取り入れることができ、日々の生活を豊かにしてくれます。なんて事のない料理でも美味しいものに感じさせてくれる魔法のようなものです。
益子参考館見学の後は、町のメインストリートにある大誠窯さんで製作風景を見学させていただき、たくさんお話を伺い、素敵な器を購入させていただきました。あっという間に時間が経ってしまうほど充実した一日を過ごすことができ楽しかったです。また近いうちに遊びに行きたいなと思っています。
さて春も本番となりまして穏やかな気持ちの良い季節がやって来ました。 今回はそんな春の陽気におすすめの心地よい音楽を紹介いたします。
Ernest Ranglin / Boss Reggae (1969年)
アーネスト・ラングリンは50年代から活躍するジャマイカのジャズギタリストで、スカやレゲエの創成期に数多くのミュージシャンのバックを務め、類い稀な才能とテクニックでジャマイカンミュージックを世界に広めた伝説的な人です。
特徴的なギターの音色は耳触りがよく、20年前に初めて聴いたときのほんわかした心地良い記憶は、暖かい季節が訪れるたびに今でも蘇ってきます。 ソロとしても多くの作品をリリースされてますが、何となく今の気分で手に入るものからこのBoss Reggaeをセレクトしてみました。陽気なインストギター作品で、聴いているとハッピーな気分にさせてくれます。これから大型連休が始まりますが、春の柔らかな風に吹かれながらのんびりと聴いていたいアルバムです。
西岡恭蔵 / 南米旅行(1977年)
こちらはさらにゆる〜い気分が味わえる、春から夏にかけてぴったりのリラックスムードたっぷりのアルバムです。シンガーソングライター西岡恭蔵さんの77年の作品で、奥さんとメキシコ、バハマ、ニューオーリンズを旅した中での出会いや別れを歌っています。メキシコ湾、カリブ海周辺の音楽のテイストを 取り入れたバラエティに富んだ曲の数々ですが、とりわけニューオーリンズテイストのピアノがぐっと心に響く4曲目「アフリカの月」がお気に入りです。
一時期トロピカルな音楽に夢中になっていた頃、スティールパンの音色にやられてしまい、その名手ロバート・グリニッジが参加している作品を片っ端から調べて聴いていた時期がありました。その時に出会ったのがこのアルバムでした。7曲目「Dominica Holiday」はスティールパンと歌声の織りなすハーモニーがとても心地よく、一瞬で心を奪われてしまいました。目を閉じると南国にトリップしてしまったかのような気分にさせてくれます。
Jachie Mittoo / The Keyboad King At Studio One
「暖かくなるとロックステディが聴きたくなるねー」と友人がよく口にしており、決まって話に出てくるのがこちらのジャッキー・ミットゥでした。説明するまでもなく、ジャマイカを代表するキーボーディストで、スカ、ロックステディ、レゲエ好きにとっては神様みたいな人です。こちらはSOUL JAZZ RECORDS監修で選曲が素晴らしく、数ある編集盤の中でも特に人気のアルバムです。どの曲も良いのですが特に7曲目に収録の「OBOE」は太いベースラインに浮遊感たっぷりのキーボードの音が乗って心地よいメロディを奏でており、反復するフレーズを繰り返し聴いているとなんだか体が宙にプカプカ浮いているかのような不思議な感覚になる気持ちが良い曲です。暖かくなった夜に聴きたくなってしまうアルバムです。
以上、この春聴きたいおすすめの3枚でした。
次回は夏を満喫する音楽を紹介したいと思います。