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WILDSWANSのオリジナルコードバンシリーズについてのお話 6

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コードバンとは、馬の臀部の皮下組織にある特定の層を削り出した皮革で、その特殊な製造方法もさることながら皮革としても一般的な牛革とは毛色の異なる素材です。

それだけに製造出来るタンナー(皮革製造業者)も決して多くはありませんが、WILDSWANSではシェルコードバンの他、オリジナルコードバンを含む国産のコードバンといったものも取り扱っています。

 

中でもオリジナルコードバンは技術の確かな国内のタンナーと協力し開発された、WILDSWANS初のオリジナルのコードバンです。

まだ登場から日も浅く、この皮革についてのご質問を頂くこともございますため、今回はこのオリジナルコードバンを改めて詳しくご紹介させて頂きます。

 

そもそもWILDSWANSのオリジナルコードバンとは構想から完成までに3年を要し、原材料である原皮の質から鞣しや仕上げの工程に至るまで拘って開発された皮革です。

 

オリジナルコードバンはポーランド産の原皮が使用されています。ポーランド産の原皮は良質なために世界的に有名なコードバンのタンナーも用いているほどで、肉厚で質の高い希少な原皮です。

調達した貴重な原皮は高い技術を持った日本のタンナーによってじっくりと時間をかけて鞣された後に、その皮革の深部からコードバン層という特定の層を削り出してコードバンが製造されます。

 

WILDSWANSでは昔からアメリカ、ホーウィン社のシェルコードバンを素材とした製品を製作しておりますが、オリジナルのコードバンの開発に際してシェルコードバンとはまた異なる特性を持ったコードバンを目指しました。 2種の皮革の特性に優劣が付くといったものではなく、ご使用になる方のお好みや使用環境、シーンに応じてお選び頂けるような選択肢を設けるという目的です。

今後も様々に展開をしていく予定ですが、オリジナルコードバンのカラーバリエーションは現在のところ以下の2色展開となっています。

※いずれのカラーも染料のみで仕上げられているため、色味や濃淡にある程度の差が生じます。

 

こちらはグレーです。

コードバンではあまり目にすることの無いカラーの1つで、シックな雰囲気を持ちつつもブラックとはまた異なる印象の色味です。

 

こちらはカーキになります。

ミリタリーシーンで目にするような深みのあるオリーブグリーンです。

 

オリジナルコードバンの主な特徴として、以下の4つの要素が挙げられます。

① 皮革の油分の含有量を少し抑え、ハリ感を強く出した仕上げ

シェルコードバンはオイルコードバンと呼ばれるように製造工程で油分やワックスをたっぷりと浸透させた素材です。

皮革は含有する油分が多いほどしなやかになるという特性があります。そのほかにも繊維密度や鞣しの種類なども革のハリには影響致しますが、オリジナルコードバンでは油分を少し抑え、その分革のハリ感を強く、製品に組み上げた際に力強さを感じるような仕上げです。

油分を抑えたことで革同士の接着も強力になり、外装・内装にコードバンを使用したフル・コードバン仕様といったことも可能になりました。

 

② 仕上げの工程で光沢を出し過ぎず、ややマットに抑えている

画像左のシェルコードバンは(やや個体差はあるものの)皮革の状態で艶感をしっかりと出した仕上げを施されています。 美しく高級感のある外観は正にシェルコードバンといったところですが、画像右のオリジナルコードバンでは敢えて艶感を弱めマットな風合いでフィニッシュしています。

革自体はしっかりと鞣され、ご使用頂く過程でコードバンならではの光沢が出るポテンシャルを持った素材ですが、敢えてマットに仕上げることで経年変化による光沢の深まりをより強く感じて頂くことが出来ます。

また、「ザラ」と呼ばれる皮革表面のザラつきや、染色のムラといったものもシェルコードバンには珍しくないもので、そういったバラつきや荒々しさといったものもこの皮革の魅力となっています。 一方のオリジナルコードバンについてはザラや色ムラといったものはほとんど見られず、安定した綺麗な表情が特徴です。

 

力強さや逞しさを感じるシェルコードバン、繊細さやスマートな雰囲気のオリジナルコードバンというように同じコードバンでもタンナーによって趣が異なる素材になります。

 

③ 傷が付きにくく、水濡れによる染みが出にくい

コードバンと言えば「傷が付きやすく、水に弱い」というイメージがあるようです。これは多くの皮革に当てはまることでシェルコードバンが特に弱いといったことではありませんが、何かに引っ掛けて傷が付いたり、またうっかり雨に当たってしまいブクや色ムラが出来てしまったということは実際に起こり得ます。 オリジナルコードバンは特殊な鞣しと加工によって皮革表面は硬く締まっており、水による影響が少ない染料のみでの仕上げのため水に強く傷が付きにくいという特性があります。

※防水というわけではございませんので、水濡れが生じた際には可能な限り速やかに水分を除去して頂くことをお勧めいたします。長時間水が付着した状態で表面を擦った場合には表面の塗膜が破壊されて色抜けが生じてしまいます。

また、オリジナルコードバンは染料のみを使用しているため、アルコールや除光液などのように染料を溶かしてしまうような成分が付着致しますと染料が抜けてしまうことがございますので、ご注意下さいませ。

 

④ 経年変化について

コードバンと言えばその経年変化も人気の要素の1つです。程よく使い込まれたコードバンは金属や飴細工のような強い光沢を放ち、美しく迫力のある経年変化が特徴です。 オリジナルコードバンは昨年リリースしたばかりのため何年も時間をかけたエイジングサンプルはご用意がありませんが、いくつかスタッフが使用しているサンプルがありますのでそのポテンシャルの片鱗を垣間見ることが出来ます。

染色は顔料を用いず、染料のみで染められているためにご使用頂くにつれて様々な変化が起こります。

 

こちらのTONGUE(グレー)はサンプルの中で最も長い使用期間になりますが、部分的にうっすらと赤銅色になり始めています。

 

 

紫外線などの影響による染料自体の変化や、地の色が透けてタンニン鞣しの渋と混ざり合った様子などは金属などの経年変化にも似て、その変化の様を楽しむのもオリジナルコードバンの醍醐味と言えます。

 

今回ご紹介を致しましたWILDSWANSのオリジナルコードバンシリーズはWILDSWANS銀座店WILDSWANS Online Shopにて発売中です。

 

興味をお持ち頂けましたら是非ご覧下さいませ。

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