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Japonica(ヤポニカ)
Japonica(ヤポニカ)は草木染め木工職人の清水将勇氏が主宰する茨城県石岡市の工房です。 日本人にとって馴染み深い木材「杉」を用いた器を製作しています。 ※ヤポニカは杉の学名である「クリプトメリア ヤポニカ」(Cryptomeria japonica)に由来しています。
杉という木材を知り尽くした清水氏が製作する器の数々は見て美しく、使うことで食材や料理の魅力を引き立てる力を持っています。 杉の美しい木目を生かすため、手で形を探り、草木で染めて仕上げられるヤポニカの器はどれも息を吞むほどに美しく、乗せる食材や料理を引き立てる力をもっています。
今回ご紹介するワインクーラーは既にWILDSANSでお取り扱いをさせて頂いている製品になりますが、japonicaさんは茨城県に工房を構え、茨城を拠点に活動されている工房・職人さんですので、改めて茨城百貨店にて製品を取り扱いさせて頂くことになりました。
当時の記事を一部加筆修正し、改めてこちらでご紹介させて頂きます。
ワインクーラー 165,000円(税込)
H17.5×W36×D21cm
こちらはWILDSWANSがJaponica(ヤポニカ)へ製作を依頼した製品になります。
杉というものは古来から日本において様々な用途に利用されて参りました。杉の柔らかい肌触り、優しい色味、たおやかな木目といった性質が日本人の気質に合っていたのでしょう、 建築、建具、箪笥、桶、味噌樽、酒樽、弁当箱、箸などなど、挙げればきりがないほどに生活に密着した素材です。
杉には他の材木にはない包容力があり、特に容器として中に入れるものを優しく包み込み、それを持つ手肌にも温かみが感じられる、という唯一無二の性質を持っています。
長年杉を扱ってきた清水氏曰く、杉には他の材木にはない包容力があり、特に容器として中に入れるものを優しく包み込み、それを持つ手肌にも温かみが感じられる、という性質は他の素材では替えにならないものだそうです。
常日頃から杉という木材に触れ、その性質や特性を熟知している清水氏の言葉からも杉材の持つ能力や魅力が伝わって参ります。
実際に杉は日本に生えている数ある木の中でも熱伝導率が桐と並んで低いという性質を持っています。材の中に空気を多く含むことで熱を伝えにくいため、床材にも好まれます。
ワインクーラーと言えば金属やガラスといった素材が一般的ですが、実はこれらの素材は木材よりも熱伝導率が高く、氷が溶けやすい性質です。
一方で木材の中でも取り分け熱伝導率の低い杉材は非常に氷が溶けにくく、ワインクーラーにも適した素材と言えます。
同時に空気を多く含むことで軽量なことも利点の一つです。
このワインクーラーは氷を溶けにくくする目的でたっぷりと厚みを持たせておりますが、軽量で取り扱いやすい重量に抑えられています。
原料となる筑波山系の杉材はJaponicaが工房を構える茨城県石岡市にある製材所から調達しています。杉なら何でも良いというわけではなく、実はこの木材の選定が全工程中最も大変で、且つ重要な作業になります。
材料には厚さ9cm、幅21cmの材を2枚接ぎ合わせて使用致しますが、このサイズの木材で節が一つもなく、割れも入らないという状態のものが滅多にありません。 というのも木には当然枝が生えているものですが、この枝が木材の節になります。 節の無い木材を作るには立木の時点で成長している木の枝を落とす「枝打ち」という作業が必要になります。樹木の成長過程で年に数回行われる、手間と労力の掛かる作業です。
また、割れというものは製材後に桟積み乾燥する段階で入るものになりますが、これも非常に慎重な管理によって割れを防ぐよう工夫されています。
Japonicaが厚く信頼を寄せる茨城県石岡市の製材所では少人数で昔ながらの丁寧な仕事が為されており、この製材所なくして上質な材料の調達は実現しません。
こうして選りすぐった材木をはぎ合せ、ドリルである程度穴を空けた上でノミと槌を用いて手作業で彫り込んでいきます。 図面には起こせない形状のため、1点1点削りながら形を探していくそうで、1点ずつ微妙に表情が異なることも木材ならではの魅力があります。
美しい木目によって木材と分かりますが、底以外に平面を持たず曲面で構成された流線形は木製とは思えない程です。楕円形の形状はどの角度から見ても異なる表情をしており、またその丸みによってボトルのネックを優しく受け止め、包み込むようなデザインによって冷気が逃げにくくなっています。
洋食に日本酒、和食にワインやシャンパンを合わせるといったことが珍しくない時代ですので、和の素材である杉を使いながら、和に寄り過ぎず、和洋問わずどんなシーンにも馴染みそこで存在感を発揮する形を意識して製作されています。
前面の中央にはシルバー925製のロゴがあしらわれています。
はぎ合せた2枚の木材は継ぎ目が揃うよう絶妙な位置で合わせられており、木目の流れや色味の違いなどが生む表情は自然の素材ながらもまるで絵画を見ているような錯覚を覚えます。
この美しい木目は羽ばたくスワンをイメージして製作されています。
クーラーの内側です。外側と同様に滑らかに磨き込まれ、またこちらにも美しい木目が広がっています。木材そのままでは水分が染み込んでしまいますが、全体に耐熱性、耐水性に優れたプレポリマー(液体樹脂)塗装が施されており、水が染み込んでしまうことはありません。
この塗装は食品衛生法にも適合した安全性の高いもので、洗剤で洗うことも出来ます
※食器洗い機や電子レンジは使用しないで下さい。
ワインクーラーは天然の杉材を使用し、且つ手作業により製作されるため1点1点に僅かな形状や重量の差、また表面の木目や色味といった表情の違いが生じます。
また、同じ木材でも部分的に繊維密度の異なる部分があり、プレポリマー加工の際に樹脂の含浸の度合いによって画像のような濃淡が入ることがございますが、これは天然木ならではの個性によるものですので、木材の力強さや迫力の表れとしてお楽しみくださいませ。
なお、このような濃淡は多くの場合木材の経年変化によって徐々に馴染んで参ります。
如何でしたでしょうか。
今回はJaponica(ヤポニカ)のワインクーラーをご紹介致しました。
誰も見たことが無いようなものをコンセプトに開発されたワインクーラー、美しく実用性の高い器で、使うたびに杉の持つ魅力を発見できるような製品です。
ワインクーラーは、現在茨城百貨にて発売中です。
最後に、Japonica代表の清水氏が今回のワインクーラー製作に際してこのようにお話されていました。
「日本の文化を支えてきた杉は、戦後の植林政策により日本の山々に植えられ、現在伐採期を迎えています。しかし林業に携わる人の高齢化や後継者不足、木材の価値が下がったことにより、山は放置され杉が利用されることも限られています。
この杉たちをもう一度価値あるものとして今の世の中で活躍させることはできないか。この想いで杉の特性を生かすように様々な手法を用いてものづくりをしてまいりましたが、今回のプロダクトはヤポニカにとって今まで蓄積した技術、センスの全てを注ぎこんだものになりました。
得意とする草木染めを封印していますが、これはもともと杉の木を生かすために考え出した一つの手法であり、もし杉の木そのものの色で勝負できればとも常々思っておりました。 草木染めに頼らずとも杉の木そのものの良さで勝負できるだけの力のあるものになったと確信しています。」
興味をお持ち頂けましたら是非ご覧下さいませ。
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